そして、Bサイドには音源としては今回が初お披露目となる”手紙”を収録。現在の彼女たちのレパートリーのなかでも、もっともパンキッシュな勢いを持ったこの曲は、ライヴでも最初ないし最後に演奏されることの多いキラーなナンバーだ。キラッキラのエレキ・ギターと、テンポよくもちゃんと後ろのビートを感じさせるドラミング、そして、その間を練り歩くベースライン。最初期のストーン・ローゼスがヴァセリンズとドリーム・タッグを組んだかのような、屈指のインディ・ロックンロールとなっている。まさに7インチで聴きたい1曲と言えよう。
今のライヴを見る限り、ドゥワップ的なコーラスを持ったソウル・ポップや、よりグルーヴィに寄ったインディ・ダンスなど、SaToAはこの2曲ではまだ見極めれない程、多くの引き出しを持ったバンドだと想像できる。すでに完成していると噂のデビュー・ミニ・アルバムも待ち切れないが、まずはこのアナログ盤が必携だろう。ともすれば10年後、20年後、このレコードを持っていることが自慢となる1作となるかもしれない。「SaToAの最初の7インチ、わたし持ってるわよ」ってね。
(text by 田中亮太)
A-SIDE:Trees
B-SIDE:手紙
she said / dim shape [NEW 7inch/JPN] 1300円
シーセッドは京都で活動する4人組のロック・バンドである。ヴォーカル・ギターとギタリストに女性、リズム隊の2人は男性からなっている。まだ10代のメンバーもいるという編成は以下のとおり。
佐合志保(ギター/ヴォーカル)
愛須理保子(ギター/コーラス)
森岡誠也(ベース)
オジマカイチ(ドラム)
そして、Bサイドは、バラッドの”ヘイトリッド・フィール”を収録。ゆったりとしたビートのもと、鈍い色のディストーション・ギターが、ひりひりとした”嫌悪”を軋ませている。佐合の歌声の青みもいっそう濃い。不穏さを増していく世界を反映してか、今インディ・シーンにおいて、行き場のなさを尖りへと変える音楽、すなわちオルタナティヴな気運が強まりつつある。海の向こうを見ると、 イギリスにはサヴェージズがいる。オーストラリアにはコートニー・バーネットがいる。そして、ここ日本にはシーセッドがいるのだ。
(text by 田中亮太)