2015/6/24 水曜日

SaToAとshe saidの7インチ フロム Second Royal Records

第1弾(平賀さち枝とホムカミとyogee)第2弾(シャムキャッツ夏目くんソロと本日休演)と順調にリリースを重ねているセカロイさん7インチシリーズ待望の第3弾、もうすぐ到着します。

   

* * *

今回も絶妙なラインナップでニクイです。SaToAとshe said、という注目のガールズインディー2組の同発なんて…!ああニクイなぁ~
おなじみ田中亮太さんのゴキゲンなテキストと共に今回もご紹介していきましょう。

SaToA / Trees [NEW 7inch/JPN] 1300円
SaToA(サトア)は東京で活動する3人組のギター・ポップ・バンドである。メンバーは以下のとおり。
さちこ(ギター/ヴォーカル)
ともこ(ベース/ヴォーカル)
あみ(ドラム/ヴォーカル)

さちこ、ともこは姉妹、あみはともこの同級生。上のクレジットからもわかるように、メンバー全員がメイン・ヴォーカルである。それぞれの声色が見事に異なった魅力を持っており、その意味で60年代のキュートなガールズ・ポップ・グループが、現行のインディ・ギター・バンドに乗り移ったようでもある。ちょっと類似のバンドを探すのが難しいトリオだ。
結成は昨年と、まだキャリアはわずか。だが、2014年の秋にサウンドクラウドで発表した3曲が、静かな話題を呼び、池袋オルグの閉店イベント 〈オルグスター感謝祭〉に錚々たる綿々と並んで出演。驚くことにこの日が初ライヴだったという。以降、〈キリキリヴィラ〉のコンピレーション・パーティやピーチ・ケリ・ポップの来日公演など、話題のイベントへの参加を経験。6月24日には、渋谷wwwでの吉田ヨウヘイgroupのサード・アルバム・リリース・ツアー初日へ、NOT WONKとともに出演が決定し、さらにその名を知らしめることとなった。なお、この7インチはその日に先行発売されることがアナウンスされている。

今作がバンドにとって初となるパッケージでのリリース。Aサイドに収録されたのは、以前からアップロードされていた”ツリーズ”。全てメンバーの手による宅録であったサウンドクラウド・ヴァージョンと違い、今回はミツメや吉田ヨウヘイgroupなどのエンジニアで知られる馬場友美によるスタジオ録音。さらに、中村宗一郎によるマスタリングが施され、音色の柔らかさ、サウンドの力強さともに破格に増した新録となっている。それにしても、この曲の胸を焦がす眩さといったらどうだろう。 甘苦いギター、小気味いいビート。凛とした美しさを貫くメロディに、随所で繰り出されるシャウトが一気にキュートさを加えている。今バージョンから追加されたギター・ソロ時のトゥトゥトゥ・コーラスも堪らない。たとえばミツメの”クラゲ”、シャムキャッツの”渚”。数年に一度だけ現れるそれらインディ・ギター・アンセムの2015年版がこの曲となるはずだ。

そして、Bサイドには音源としては今回が初お披露目となる”手紙”を収録。現在の彼女たちのレパートリーのなかでも、もっともパンキッシュな勢いを持ったこの曲は、ライヴでも最初ないし最後に演奏されることの多いキラーなナンバーだ。キラッキラのエレキ・ギターと、テンポよくもちゃんと後ろのビートを感じさせるドラミング、そして、その間を練り歩くベースライン。最初期のストーン・ローゼスがヴァセリンズとドリーム・タッグを組んだかのような、屈指のインディ・ロックンロールとなっている。まさに7インチで聴きたい1曲と言えよう。
今のライヴを見る限り、ドゥワップ的なコーラスを持ったソウル・ポップや、よりグルーヴィに寄ったインディ・ダンスなど、SaToAはこの2曲ではまだ見極めれない程、多くの引き出しを持ったバンドだと想像できる。すでに完成していると噂のデビュー・ミニ・アルバムも待ち切れないが、まずはこのアナログ盤が必携だろう。ともすれば10年後、20年後、このレコードを持っていることが自慢となる1作となるかもしれない。「SaToAの最初の7インチ、わたし持ってるわよ」ってね。
(text by 田中亮太)

  A-SIDE:Trees
  B-SIDE:手紙


she said / dim shape [NEW 7inch/JPN] 1300円
シーセッドは京都で活動する4人組のロック・バンドである。ヴォーカル・ギターとギタリストに女性、リズム隊の2人は男性からなっている。まだ10代のメンバーもいるという編成は以下のとおり。
佐合志保(ギター/ヴォーカル)
愛須理保子(ギター/コーラス)
森岡誠也(ベース)
オジマカイチ(ドラム)

4人はいずれも大学生。過去にくるりやキセル、Limited Express (has gone?)などを輩出したことで知られる、立命館大学の軽音サークル、ロック・コミューンが母体となっている。結成は2013年と日は浅いながら、京都屈指のマンスリー・フロア・ライヴ、感染LIVE、ニュー・ハウスの京都公演、ベッド主宰による来来来チームの来京イベントなど、幾つもの注目イベントへと出演。さらに、自主制作デモCDRを発表する傍ら、マイルズ・アパート・レコーズからリリースされたカセット・コンピ『クリスマス・スモール・ギフト vol.2』に楽曲を提供。インディ・シーンにおいて、着実にその存在感を高めていっている。

この7インチは、バンドにとって初となるアナログ盤。まずAサイドに収録された”ディム・シェイプ”は、かねてからのレパートリーであり、披露される度に多くのリスナーの耳を奪ってきた名曲。イントロは2本のギターから。静かなアルペジオが重なり、徐々に徐々に温度を上げてから、ゆっくりと柔らかくも力強いドラムが入ってくる。そして、曲が始まり約50秒を経てようやく歌メロディが現れる。澄んだ青みを持った女性ヴォーカルの歌声に、長音の多い譜割りがばっちりとはまっている。ソングライティングもアンサンブルも一聴シンプルな構成ながら、こまかな変化を重ねることで、とてつもなく繊細にエモーションを高めていく。BPM120とギター・ロックのなかでは遅めのテンポで、しっかりとグルーヴを出しつつ、屈指のキラー・チューンでもあるという、実はなかなかやれるバンドが少ないラインを、あっさりとものとしたこの曲は、やはり初期のシーセッドの代表曲となるだろう。

そして、Bサイドは、バラッドの”ヘイトリッド・フィール”を収録。ゆったりとしたビートのもと、鈍い色のディストーション・ギターが、ひりひりとした”嫌悪”を軋ませている。佐合の歌声の青みもいっそう濃い。不穏さを増していく世界を反映してか、今インディ・シーンにおいて、行き場のなさを尖りへと変える音楽、すなわちオルタナティヴな気運が強まりつつある。海の向こうを見ると、 イギリスにはサヴェージズがいる。オーストラリアにはコートニー・バーネットがいる。そして、ここ日本にはシーセッドがいるのだ。
(text by 田中亮太)

  A-SIDE:dim shape
  B-SIDE:hatred feel

2枚とも6/30発売。前日の6/29には店頭出しできるかと思います。ご予約も受け付けておりますのでぜひ。

過去の関連記事→Second Royal Recordsの7インチシリーズ

Filed under: 入荷[new] — coconutsdisk kichijoji @ 17:52:26

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