2011/9/15 木曜日

来週の月曜日の80年代レコード放出セール作業ルームから。その3。フィルムス特集。

今回のセールで密かに嬉しいのが大好きな80年代テクノポップバンド<フィルムス>がリリースした全ての作品、2枚の7インチシングルと1枚のLP、を取り揃えることが出来た事。

そんな訳でセール前の放出品うちあけ話第三夜の今日はフィルムス特集、いってみたいと思います。


フィルムズ / T.V.フォーン・エイジ [USED 7inch/JPN]
アルバムに先行してリリースされた記念すべきデビュー盤。
片仮名のアーティスト表記はフィルム「ズ」。

  20世紀に生まれていたら/こんな不幸はなかった
  なぜかせつなくて/なぜか悲しくて/笑ってしまった

…という歌詞が印象に残ります。後述しますがこの笑うしかない絶望と諦め、みたいな感覚がフィルムスの楽曲を覆う世界観だと思います。


フィルムス / ミスプリント [USED LP/JPN]
そしてこれがフィルムス唯一のアルバムにしてジャパニーズ・テクノ・モダン・ポップの超絶名盤『ミスプリント』!
イギリスのバグルスあたりを思わせる英国ポップなヒネた感覚にシンセをまぶしたアレンジ。そこに60年代ポップス、中でもビーチボーイズ、が見え隠れする甘いメロディーが加わって。そんな曲だけ聴いててもとってもポップで素晴らしいんですが。

フィルムスが特別なのはリーダー赤城忠治氏による歌詞の世界だと思っていて。

来るべき(というか21世紀とかさらに先の30世紀とかの)遠い未来への不安・不信・猜疑心、なにか悪いことが起こってる気がしてるけど自分にはどうすることも出来ないという諦観・絶望、そしてそれでもまだほんの一握りだけど希望は一応残ってる……の か?みたいな。そんな歌。3.11以降の今聴くべきやるせなくて悲しい歌の数々。

さて、そんな超名盤の本盤。今回入荷したのはご覧のとおり帯付(「あら!未来?」という帯コピーがストレンジ)!
さらに!今回入荷した盤にはカッチョ良すぎる写真がたくさん掲載されているポスター型プロモ用資料が付属しております!!
これっ!↓いやーこれは欲しいでしょっ!

で、このプロモ資料に掲載されている赤城さんの文章がとても良くて。良すぎるので引用してしまおうと思います。

  2度目のアンコールでステージに上った。
  マイクを持つ手の感触と、
  目の前の女の子の胸のふくらみは、
  多分同じやわらかさだろうと思って興奮した。

  残念ながら、
  筒井もキューブリックもほとんど知りません。
  ただ、六本木のアルファキュービックに行くと
  キューブリックを思い出すし、
  筒井康隆の名前を聞くと、
  筒美京平を思いだすけど、
  どちらかというと、
  鉄腕アトムが好き、かな。

…と、これを読んで気づいたんだけど、フィルムスの世界観に近いのはあれだよ、藤子・F・不二雄のSF短編!


フィルムス / GIRL [USED 7inch/JPN]
アルバムリリース後に出た2ndシングル。アルバム未収録の名曲!!
これ、ほんと見かけない幻の逸品。
個人的に今回のセールの目玉のひとつだと思ってたりします。
♪ガール
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/915girl.mp3|titles=♪ガール]

この後フィルムスはあのYENレーベルへ移籍。セカンドアルバムの製作に取り掛かりますが結局リリースされることはありませんでした。
そのセカンドアルバム用のデモが数年前に発掘され、CD発売されるという情報もありましたが結局幻に終わったようです。

Filed under: 入荷[used],放出セール作業ルームから — coconutsdisk kichijoji @ 21:10:04

2011/9/13 火曜日

来週の月曜日の80年代レコード放出セール作業ルームから。その2。

今日もまたセール放出品からいろいろとご紹介します!

※本日紹介のレコードの価格等についてのお問い合わせや、電話・メールでのお取り置き、通信販売は9/20以降の受付とさせてください。
大変申し訳ございません!何卒、ご理解・ご協力お願いいたします。


EXHIBIT B / PLAYING DEAD [USED LP/UK]
XTCやNEW MUZIKあたりのポップでヒネたバンドの大元ネタがビートルズなのに対してこのバンドはビーチボーイズが背後にある、というあまりない感じの立ち位置が素晴らしいバンドの名盤唯一作。
フリッパーズ・ギター”全ての言葉はさよなら”ネタ”Expert From A Hippy Opera”収録、という事でも有名な1枚。


IN EMBRANCE / THIS BRILLIANT EVENING [USED 12inch/UK]
’85年チェリー・レッドから出た”シンセ・ネオアコ”とでも呼びたい名曲。
この辺の中途半端な感じが今一番しっくりくる気がします。
僕はこのレコード、超昔にフリッパーズが「オリーヴ」(!)だったか「ピーウィー」(!!)だったかで紹介してて知りました。今考えると狂ってる!
♪this brilliant evening
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/913thisbrilliantevening.mp3|titles=♪this brilliant evening]


VOICE / S.T. [USED 10inch/JPN]
そんな「中途半端な感じ」、和モノでもいくつか見つかります。
昨日のポストでちょっと書いた水族館レーベルのVA盤『陽気な若き水族館員たち』にも参加していたグループのおそらく唯一作。
80年代東京湾岸ならではなジャパニーズ水彩シンセ・モダン・ポップの傑作です。
ジャケットも良いですよね。
♪ベッドの中の幸せ
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/913bednonakanosiawase.mp3|titles=♪ベッドの中の幸せ]


テストパターン / アプレ・ミディ [USED LP/JPN]
そしてこの名盤に辿り着く。
夢みるテクノ少年の為のポップ・ミュージック。またはブライアン・ウィルソンがテクノポップを奏でたら。
…そんな瑞々しくてイノセントなジャパニーズ・テクノポップの大傑作です。


ワールド・スタンダード / アロー! [USED LP/JPN]
テクノポップ~NW周辺のアーティストのポップスアプローチとしてはこの鈴木惣一郎率いるワールド・スタンダードの’86年セカンドなんかも。
プロデュースはその後フリッパーズギターを手掛ける牧村憲一氏。



ピチカート・ファイヴ / オードリィ・ヘプバーン・コンプレックス(プロモート用テスト盤) [USED 7inch/JPN]
そしてそんな流れの最高峰なのはやはりピチカート・ファイヴ。というよりも流れを断ち切る程の趣味の良さと突き抜け感が凄い。
80年代のピチカートってホントに孤高だったんだろうなあ、と思ってしまいます。
さてこちらは記念すべきデビュー直前の非売品プロモート盤!昨年の90年代セールで放出した物よりもてんで状態のいいものが入荷したんで思わず裏ジャケも載っけてしまいました。
この曲を7インチで聴ける歓び!!


ピチカート・ファイヴ / カップルズ [USED LP/JPN]
孤高のバンド、80年代ピチカート・ファイヴ。の、超絶名盤1stアルバム。の、アナログ盤!
しかも今まで入荷したもののどれよりも状態が良いですっ!!!シュリンク付!超美品!!
この、さっきシュリンクを切ったばかり、という感じが写真で伝わりますか?


ピチカート・ファイヴ / ベリッシマ [USED LP/JPN]
孤高のバンド、80年代ピチカート・ファイヴ。の、超絶名盤2ndアルバム。の、の、の!アナログ盤!!!
こっれも昨年のセールで放出した物より状態の良いものを御用意いたしました!!!!
シュリンク付!超美品!!消費税訂正ステッカーが泣けますね。


PREFAB SPROUT / JORDAN:THE COME BACK [USED LP/UK]
ピチカート『ベリッシマ』での女声コーラスの使い方が大好きなんですけど、プリファブ・スプラウトも同じ理由で大好きです。
という訳で彼らの最高傑作の誉れ高き4作目。このアルバムのアナログ盤は比較的見かけませんよね。


ANDY PAWLAK / SHOEBOX FULL OF SECRETS [USED LP/UK]
”ひとりプリファブ・スプラウト”こと、ネオアコSSWアンディ・ポーラック名作1st。
アル・クーパーの名曲”Jolie”を思わせる(パクった?)”Mermaids”はフリーソウルファンにもオススメ。


岡村靖幸 / DOG DAYS [USED 7inch/JPN]
アンディ・ポーラックとかフレンズ・アゲインとかとつなげて聴きたいのが初期岡村ちゃんのこの名曲!
モータウンビートにアコギのカッティング。夏の太陽のせいで堕落してしまう、というカミュ「異邦人」的な(?)歌詞。
これは日本語ネオアコの名曲だと思います。


エキゾティックス / LIBRARY [USED LP/JPN]
沢田研二のバックバンドの単独作’83。
ここに収録されている”You Can Tell Me How”という曲。これが聴いてみてびっくりのアズテック・カメラ”Oblivious”インフルエンスド・ソング!
しかもリリースが’83年だからこれはかなりのリアルタイム早業!もしかしたら日本初のネオアコ曲はこれ?なんて。
このアルバム、他の曲もシティポップというにはほの暗くてなんだか不思議なレコードなんです。
♪you can tell me how
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/913youcantellmehow.mp3|titles=♪you can tell me how]

Filed under: 入荷[used],放出セール作業ルームから — coconutsdisk kichijoji @ 20:37:19

2011/9/12 月曜日

来週の月曜日の80年代レコード放出セール作業ルームから。

セール前恒例の放出品うちあけ話、今回もやってみたいと思います。ひとつお付き合いくださいませ!

※本日紹介のレコードの価格等についてのお問い合わせや、電話・メールでのお取り置き、通信販売は9/20以降の受付とさせてください。
大変申し訳ございません!何卒、ご理解・ご協力お願いいたします。


THE WAKE / HARMONY [USED LP/UK]
後にSarahレーベルから作品をリリースしてネオアコファンからも愛される事になる彼ら、
これはFactoryから出た1stアルバム(’82年)。
Dark Wave~Minimal Synth Waveさとインディーポップ感のバランスが最高で、まさに今ジャストな音!
去年再発も出ましたが、レアなオリジナル盤で放出します。


THE WAKE / SOMETHING OUTSIDE [USED 12inch/UK]
Factoryベネルクスからリリースされた名曲2ndシングル。
この冷え切った鬱々シンセ・インディー・ポップな感じ、もうすぐ(明日?)リリースされるドラムスの新作に影響大だと思います。


NEW ORDER / MOVEMENT [USED LP/UK]
でまあ、この辺の元祖といえばやはりニューオーダーです。
しかも今いちばん聴きたいのが”ブルマン”以降のダンスビートを大々的に取り入れる前の1st。
この「鬱々+疾走」感はモロ、ドラムスとかCaptured Tracksレーベルなんかの最近のUSインディー、ですよね。
インナーカンパニー・スリーヴに至るまでピーター・サヴィルの美意識が感じられるUKオリジナル盤。


THE ROOM / IN EVIL HOUR [USED LP/UK]
80sリヴァプール・バンド、ザ・ルームの最高傑作(と思う)3rd。
この辺のほの暗くて硬派なインディーポップって90年代00年代とあまり再評価されてこなかったけど今は逆にかなりいい感じです。
このバンドは女子が一人メンバーにいる、ってのもポイント高いです。
♪a shirt of fire
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/912room.mp3|titles=♪a shirt of fire]


ザ・ルースターズ / DIS. [USED LP/JPN]
今回のセールではルースターズのLPもたくさん放出しますが(人気の1st~3rd、シングルコンピや初期未発表曲集など出ます!)
この流れで紹介したい/今聴き返したいルースターズってこの4枚目以降の大江さんがぐーっと内省的に・サイケデリックになっていった頃の作品郡かなと。


ザ・ルースターズ / φ [USED LP/JPN]
極めつけは大江慎也在籍期ルースターズラスト作6thの冒頭を飾る名曲”VENUS”!
この儚すぎる危うい美しさ!
you tubeで見つけた↓の映像もめちゃくちゃかっこいい(この後の大江さんの事を思うと複雑な気持ちになってしまいますが)


ミオフー / MIO FOU [USED LP/JPN]
ムーンライダーズの鈴木博文と美尾洋乃によるデュオ1作目。
同時代のイギリスのドゥルッティ・コラムやクレプスキュールのアーティストが鳴らしていたような”漂う音楽”に
リアルタイムで呼応したようなジャパニーズ・センシティヴ・ニューウェイヴの傑作。鈴木慶一がやっていた<水族館レーべル>2番。
この<水族館レーベル>(レーベル名かわいくて好きです)、和製チェリー・レッドって感じのレーベルで、リリース第1弾だったショウケースVA盤『陽気な若き水族館員たち』はまさに和製『ピロウズ&プレイヤーズ』、だよなーと思ったり。
そんな風にして80年代の日本のテクノポップ~ニューウェイヴのレコードを聴き直してみるのも楽しいのでは、とか最近思ってます。
♪umi no chinmoku
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/912miofu.mp3|titles=♪umi no chinmoku]


HERMINE / THE WORLD ON MY PLATES [USED 12inch/EU]
クレプスキュール、チェリーレッドと並ぶ水彩NWの名門レーベル<CRAMMED DISCS>リリースの名盤。
人呼んで80年代版”チェルシー・ガール”!
ニック・ロウのカヴァー”I Won’t Make It Without You”の、白昼夢を見てるような、悲しい映画のラストシーンのような諦めた明るさ?が…泣。


WEEKEND / THE VIEW FROM HER ROOM [USED 12inch/UK]
アーリィ80sの内省的音楽少年の憧れ、だったというヤングマーブルジャイアンツのアリスン・スタットン。
彼女がYMG解散後に結成したグループのデビューシングルでありジャジーネオアコの傑作。
ジャケも素敵だし、アルバム未収録曲だしで欲しくなる1枚です。


THE RAINCOATS / S.T. [USED LP/UK]


THE RAINCOATS / ODYSHAPE [USED LP/UK]
ガーリィ・ポストパンクネ申バンド、レインコーツの名盤1stと2nd、久しぶりにUK盤で放出します!
まだ持ってなかったな、という方。この機会に是非。


アーント・サリー / Aunt Sally [USED LP/JPN]
レインコーツからの…アーントサリー!
日本初のパンクロックのLP、ともいわれる伝説盤。ジャケからして名盤の風格がビシビシに感じられます。
で、恐る恐る針を落とすと、思いっきりドラムがもたついていて。大好き!!!

口笛吹いて失敗してちっ、ってなったりするのとかも好きだ。

Filed under: 入荷[used],放出セール作業ルームから — coconutsdisk kichijoji @ 23:59:23

2011/6/18 土曜日

今週の日曜日のファンジン/ミニコミ放出セール作業ルームから。パート5。

セール品うちあけ話第5夜。ついに最終回!(てかセールはまだ始まってませんからね皆さん!これからですからね皆さん!終わった気にならないでくださいね皆さん!!)

昨日までの超レアなzineの連続に自分自身もちょっとコワくなってきてしまってたので最終日の今日はいつもの当店ブログのゆるい雰囲気で90年代~2000年代のzineをご紹介します。(とはいえ思い入れ度は個人的に今回が一番、です)

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※本日紹介のレコードの価格等についてのお問い合わせや、電話・メールでのお取り置き、通信販売は6/20以降の受付とさせてください。
大変申し訳ございません!何卒、ご理解・ご協力お願いいたします。
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POP-IND’S Vol.7 No.8 [USED ZINE/JPN]
『ポップインズ』をzineと呼ぶには少々無理がある気もしますが、僕はこれ以前の版型の小さかった頃の号を足しげく通っていた某中古レコ屋で発見してその存在を知ったし(しかも『フォーエヴァー・マガジン』や『UP-BEAT』、阿木譲さんの『ROCK MAGAZINE』なんかと一緒に陳列されていた)まあいいかなと。
これは版が大きめサイズになって仕切り直し・ちょいメジャーになった後の8号目、ピチカート・ファイヴ特集号です(’91年刊行)。
「東京一、クールなストーリーをはじめよう。」という書き出しで始まるピチカート・ファイヴ・ヒストリーや小西&高浪の手掛けた作詞作曲編曲仕事のリスト、彼らが好きなものを100個並べた「PIZZICATO FIVE ANYTHING TOP 100」などなどこれ以上に充実していたピチカート特集は後にも先にも無かったな、と思わせる傑作号となっています。

そして実はこの1冊が90年代の中古レコード・カルチャーに与えた影響はとてつもなくデカくて。伝説の1冊、という捉えられ方もしているんですが、それは何故かというとこのピチカート巻頭特集内にて「小西康陽&高浪敬太郎2人の音楽人生に深い深い爪痕を残したレコード200枚」と題した企画が実に6ページにもわたって掲載されていたからです。とにかくこんなにたくさんのレコードジャケットを一度に見たのってこれが初めて、って感じでこれで人生が狂った人は多いです(もちろん僕もその一人です)。


SUBURBIA SUITE;ESPECIAL SWEET REPRISE 19921121 [USED ZINE/JPN]
’92年11月21日渋谷クラブクアトロでのイヴェント会場にて販売された(後にWAVEやHMV、リブロなどで一般販売)サバービア認定ディスクガイド本1冊目。

イージーリスニングと映画音楽とウェストコースト・ジャズとラテン音楽。90年代のレコード好きの若者たちは、ここに掲載された見た事も聴いた事もないレコードの連続にクラクラ・モヤモヤ・ワナワナしていたものです。
『POP-IND’S』誌でのピチカートの200枚の衝撃の余韻をさらに増殖させたような存在だったのがこのサバービア・スイートだったような気がします。

小西さんをはじめ、小山田圭吾、高橋健太郎、二見祐志のコラムもレコードレコードレコード。


SUBURBIA SUITE;WELCOME TO FREE SOUL GENERATION 19940409 [USED ZINE/JPN]
’94年リリースのサバービア本2冊目。

キャッチーでメロウなソウル・ミュージックの再解釈=フリーソウルの始まり。後半のブラジルものやダブやムーグものに特化したページなどは来るべきブラジル音楽ブームやモンドミュージック的流れの萌芽をも感じさせます。


SUBURBIA SUITE SUBURBAN CLASSICS 19960214 [USED ZINE/JPN]
’96年3冊目では今につながる”レアグルーヴ感”を決定付けたセレクション。そして後半はヒップホップ!そう、90年代中期以降の渋谷はヒップホップの黄金時代でした。

で、ちょうど真ん中のページは除川哲朗さんによるティンパン~和モノセレクション。後のシティポップDiggin’の先駆。


SUBURBIA SUITE;INTRODUCTION TO FUTURE LISTENING [USED ZINE/JPN]
あまり紹介される事が少ないですがサバービア本の1冊目と2冊目の間の’93年の夏には実はこの小冊子がリリースされていました。

2冊目のサバービア本からフリーソウル部分を抜き取った、つまり後半の元祖ブラジル~モンド的要素で構成された早すぎた1冊。僕はこの号の小西さんのコラムでアルゾという知られざるシンガーソングライターの存在を知りました。


米国音楽 Vol.2 1994 [USED ZINE/JPN]
レイト80sから続くネオアコ~インディーポップの流れもまだまだ健在で、『英国音楽』のスピリットを受け継いだトランペットトランペットレコーズ、現BIG LOVEの仲真史さん編集の『MARY PALM』、立教大学のサークルzine『PADDY’S CREW』、インディーmeetsサバービアなあの時代ならではの歪感が最高だった『PENSE A MOI』などなど手書き+ワープロzineを経てこのDTP制作による復活版『英国音楽』=『米国音楽』が’93年に登場します。

DTPとはいえまだ素朴な造りだった初期の号が僕は好きで、中でもこのVol.2が一番のお気に入りです。
巻頭の初来日時パステルズのカラー写真にまずノックアウト!東京の夜の街に佇むスティーヴン・パステル!
その他ヴェルヴェットクラッシュとBUS STOPレーベル特集などなど資料性も高い優れた記事掲載。


POPSY ROCK! 03 [USED ZINE/JPN]
洗練されたデザインの紙面になっていた中期以降の『米国音楽』の影響下のリトルマガジンの中で最も有名で完成度が高かったと思われるのが京都を拠点として発行していた『POPSY ROCK!』。
毎号毎号、7インチサイズの外カヴァー(7インチEPのジャケットと同じ)から一回り小さい冊子が出てくる、という非常に凝った造りでした。

ロケットシップの<中の人>=ダスティンに日本で初めてインタビューしたのはこの『POPPSY ROCK!』でした。


FINGER POPPIN VOL.2 [USED ZINE/JPN]
この時期のzineで個人的に一番好きだったのは渋谷ZESTの店員さんとして有名だった梶本聡さんによる『フィンガーポッピン』。
可愛すぎず、お洒落すぎない良い塩梅の紙面とデザインが最高でした。(デザインド・バイ、バカボンドシネマポップスオーケストラの岡田崇氏!)

長門芳郎さんによる夏の午後のための音楽のページ「SONGS FOR DAYDREAMERS」と和田博巳さんインタビュー「和田珈琲店本日開店」は何度読み返したことだろう。他にもダンヒックス特集、ダニーウィルソン特集、Dr.ロバート(ブロウ・モンキーズ)特集など超充実。
余談ですがこの『FINGAER POPPIN』感覚(のようなもの)を現代に甦らせていてめちゃくちゃ感動したのが『音盤時代』という雑誌。次号が待ち遠しい、大好きな雑誌です。


ヨ・ラ・テンゴ マップ map special issue#1 spring 2004 [USED ZINE/JPN]
『フィンガーポッピン』が持っていた「可愛すぎず、お洒落すぎない良い塩梅」の趣味の良さ?みたいなテイストはレイト90s~2000年代には下北沢の空気になっていった、気がします。そんな2000s下北な音楽zineの代表が『map』かなーと。
で、『map』の最高傑作だと思っているのがこの増刊号『ヨラテンゴmap』!一冊まるごとヨ・ラ・テンゴ!こんなzineはきっと世界でも唯一ではないでしょうか。


キングジョー / うわさのガレージパンクチャンネル [USED ZINE/JPN]
5回にわたってやってきましたzine特集、大ラス、しんがりを務めるのは僕の大好きなキングジョーさん!!
ジョーさんが発行していたガレージパンクzine(ガレーzine)『SOFT,HELL!』は90年代後半~2000年代初頭の音楽系zineを代表するもののひとつなのは間違いないでしょう。
これはそんな『SOFT,HELL!』の臨時増刊号として出された(2000年10月刊行)60sガレージパンクの金字塔オムニバスシリーズ『PEBBLES』全28枚を総て紹介する、アツくてナケる1冊!


『SOFT,HELL!』といえば去年の4月にかなり久しぶりの新作がジョーさんの出演したイベント会場にて配布されました。
これを僕はジョーさんにお会いした際に「お友達にあげて!」といって数部戴くという幸運に恵まれまして。ほぼ友人などに配ってしまったんですが1冊だけ何かの時の為にとっておいたんですね。で、ついにその時が来た!!と思った訳です。そう、このzineセールにて上記『うわさのガレージパンクチャンネル』をお買い上げいただいた方に差し上げます!ノー・イラスト、ノー・フォト、のびっっしり文字だけの死ぬほど面白いジョーさんワールド炸裂の最高の1冊なのでお楽しみに。

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という訳で実に5回にもわたってしつこくご紹介してきました魅惑のzineの世界。
ウェブ上だけでは伝わらない紙の良さ、という物もあると思います。
19日日曜日はぜひぜひ店頭まで、実際にページをめくりにお越しくださいませ!!

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Filed under: 入荷[used],放出セール作業ルームから — coconutsdisk kichijoji @ 0:33:50

2011/6/16 木曜日

今週の日曜日のファンジン/ミニコミ放出セール作業ルームから。パート4。

セール品うちあけ話第4夜。今日は昨日紹介した『HERE TODAY』と並ぶ今回の目玉、『英国音楽』を中心にネオGS~初期ネオアコzineにスポットを当ててみたいと思います。

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※本日紹介のレコードの価格等についてのお問い合わせや、電話・メールでのお取り置き、通信販売は6/20以降の受付とさせてください。
大変申し訳ございません!何卒、ご理解・ご協力お願いいたします。
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英国音楽 第9号 [USED ZINE/JPN]
小出亜佐子さんを中心に編集されていた日本のネオアコzineのゴッドファーザー的伝説のzine!!!
あのフリッパーズギターの前身バンドLOLLIPOP SONICのインタビューや音源収録のソノシートを付録につけた第11号と第12号があまりにも有名ですが、これはそれより少し前の第9号。
表紙&巻頭インタビューはギャズ・メイオール。


メジャーデビュー直後のブルーハーツ、ファントムギフトのナポレオン山岸さん、ストライクス(イラストはサリー久保田さんによるもの!)の貴重なインタビューが続いて、そしてついに…!

日本のネオアコの夜明け!ペニー・アーケードインタビュー!(「私たちはずっと、こんなバンドをまっていた」!!)
「UP FOR A BIT WITH penny arcade」という見出しにグッときてしまいますね。
まさにモッズ→ネオGS→ネオアコ、という東京アンダーグラウンド・ポップ・シーンの流れを体現したような1冊。

そして小出さんによるアノラックムーヴメントまっさかりの’87年のロンドンでのLiveレポートがまた素晴らしく貴重。バンドの事だけじゃなくて観客についてもレポートしていて実に興味深いです。本場のアノラック少年達はCAVERNのニセモノのアノラックを着ている、とかね。パステルズやマイブラ(超初期!!)のステージ写真もヴェリーレア。


英国音楽 第7号 [USED ZINE/JPN]
これはさらに遡って’86年発行の7号。

表紙&巻頭インタビューにロンドンタイムス。これを読むとペニーアーケード登場以前のこの時期、日本で最もネオアコのこころを持っていたバンドがロンドンタイムスだったんだなー、っていう事がよく判ります。愛読書はサリンジャー、好きな映画は「大人は判ってくれない」!!

ファントムギフトのピンキー青木インタビューも掲載。

そして「ページが余って困っておる!」と言って小出さんが好き放題書いた巻末のページが最高に面白い。伝説のNMEのキューティーズ特集についても書いていて、うわああーってなります。
なにより、小出さんの書く「丸文字」が僕は大好きなのです。


POPPY VOLUME 4 1987 DEC. [USED ZINE/JPN]
『英国音楽』とも交流のあった(巻末のthanks欄に名前が載っている)ネオGSzine。
当時この種のzineってどのくらい出てたんでしょうか。MOD-zineは少し調査が進んできてますがネオGSzineになるとほとんど資料が無いですからね…。

まず巻頭のマディ・ランプスインタビューがド貴重!この潰れまくったハーフトーンのライヴ写真でさえ僕は見れたことを感激してしまいます。

激初期オリジナルラヴ、ワウワウヒッピーズのライヴ・レポート。こちらも荒いですが貴重すぎる写真掲載!

他にも60sガレージのザ・シーズやモンキーズ、”Hey Joe”のいろいろなヴァージョンの聞き比べ、サイケな服が買えるショップガイドなどから丸尾末広、G.バタイユについての記事などなど60s文化とアングラ/サブカル感のミクスチャーがかなりいい感じで楽しいです。


STRIKERS WALK NO.1 [USED ZINE/JPN]
「STRIKERS WALK」といえばストライクスのオフィシャルサイトの名前ですが、実は彼らのファンクラブの会報誌の名前、だったんですね。という訳でコピー&ホチキスの”zine”な造りが気分を盛り上げる、後追いファンにとって入手するのは絶望的と思われる激貴重なファンクラブ会報誌を今回ドカンと放出してしまいます!!

メジャーデビューアルバム『VOX&BEAT』の小林ヨシオさん自身による解説。

結成からの話を細かく追ったロングインタビュー。
その他メンバーによるコラムや秘蔵写真館、お気に入りレコードのレビュー(ミルクシェイクス!)などなどファン涙モノの記事満載です。


STRIKERS WALK NO.2 [USED ZINE/JPN]
’90年6月発行の第2号。

ストライクスにとってのリヴァプール、四谷をメンバーと歩くという企画。ファンクラブならではのたまらない企画!

デビュー前からの貴重なフライヤーギャラリー!!


STRIKERS WALK NO.3 [USED ZINE/JPN]
’90年12月発行の第3号。ボーダーシャツにホワイトジーンズ、というファッションでのフォトが新鮮です。

貴重なレコーディング・スタジオでのオフショット!

小林ヨシオさん直筆によるチャック・ベリーについての素敵な文章。

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本日も表紙画像とそれからマニアな皆様から紙面もデカイ画像であげてくれ!とのご要望を頂戴いたしましたので一部ですが記事も当店tumblr(リブログしてくださったりして超嬉しいっす!)にて大きめサイズでアップしてますのでそちらも併せてご覧くださいませ。

(きっと明日も続きます)

Filed under: 入荷[used],放出セール作業ルームから — coconutsdisk kichijoji @ 23:23:54
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