来週の月曜日の80年代レコード放出セール作業ルームから。その3。フィルムス特集。
今回のセールで密かに嬉しいのが大好きな80年代テクノポップバンド<フィルムス>がリリースした全ての作品、2枚の7インチシングルと1枚のLP、を取り揃えることが出来た事。
そんな訳でセール前の放出品うちあけ話第三夜の今日はフィルムス特集、いってみたいと思います。
フィルムズ / T.V.フォーン・エイジ [USED 7inch/JPN]
アルバムに先行してリリースされた記念すべきデビュー盤。
片仮名のアーティスト表記はフィルム「ズ」。
20世紀に生まれていたら/こんな不幸はなかった
なぜかせつなくて/なぜか悲しくて/笑ってしまった
…という歌詞が印象に残ります。後述しますがこの笑うしかない絶望と諦め、みたいな感覚がフィルムスの楽曲を覆う世界観だと思います。
フィルムス / ミスプリント [USED LP/JPN]
そしてこれがフィルムス唯一のアルバムにしてジャパニーズ・テクノ・モダン・ポップの超絶名盤『ミスプリント』!
イギリスのバグルスあたりを思わせる英国ポップなヒネた感覚にシンセをまぶしたアレンジ。そこに60年代ポップス、中でもビーチボーイズ、が見え隠れする甘いメロディーが加わって。そんな曲だけ聴いててもとってもポップで素晴らしいんですが。
フィルムスが特別なのはリーダー赤城忠治氏による歌詞の世界だと思っていて。
来るべき(というか21世紀とかさらに先の30世紀とかの)遠い未来への不安・不信・猜疑心、なにか悪いことが起こってる気がしてるけど自分にはどうすることも出来ないという諦観・絶望、そしてそれでもまだほんの一握りだけど希望は一応残ってる……の か?みたいな。そんな歌。3.11以降の今聴くべきやるせなくて悲しい歌の数々。
さて、そんな超名盤の本盤。今回入荷したのはご覧のとおり帯付(「あら!未来?」という帯コピーがストレンジ)!
さらに!今回入荷した盤にはカッチョ良すぎる写真がたくさん掲載されているポスター型プロモ用資料が付属しております!!
これっ!↓いやーこれは欲しいでしょっ!
で、このプロモ資料に掲載されている赤城さんの文章がとても良くて。良すぎるので引用してしまおうと思います。
2度目のアンコールでステージに上った。
マイクを持つ手の感触と、
目の前の女の子の胸のふくらみは、
多分同じやわらかさだろうと思って興奮した。
残念ながら、
筒井もキューブリックもほとんど知りません。
ただ、六本木のアルファキュービックに行くと
キューブリックを思い出すし、
筒井康隆の名前を聞くと、
筒美京平を思いだすけど、
どちらかというと、
鉄腕アトムが好き、かな。
…と、これを読んで気づいたんだけど、フィルムスの世界観に近いのはあれだよ、藤子・F・不二雄のSF短編!
フィルムス / GIRL [USED 7inch/JPN]
アルバムリリース後に出た2ndシングル。アルバム未収録の名曲!!
これ、ほんと見かけない幻の逸品。
個人的に今回のセールの目玉のひとつだと思ってたりします。
♪ガール
[audio:http://coconutsdisk.com/kichijoji/wp-content/uploads/2011/09/915girl.mp3|titles=♪ガール]
この後フィルムスはあのYENレーベルへ移籍。セカンドアルバムの製作に取り掛かりますが結局リリースされることはありませんでした。
そのセカンドアルバム用のデモが数年前に発掘され、CD発売されるという情報もありましたが結局幻に終わったようです。